週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

仙人小屋

八ケ岳では有名なお店の一つ、

八ケ岳高原ラインという

清里から小淵沢へ通じる

ドライブにはもってこいの

森の中の道路沿いに、

仙人小屋」という

ジビエ料理を食べられるお店があります。

 

熊や鹿、川魚や山菜、きのこなど

この山の息遣いを

まるごと料理にしてくれるお店です。

 

有名なお店なのでいつも混んでて行けませんでしたが、

3連休最後の今日、

ひょっとしたらお昼を過ぎたら

観光客は一斉に東京に帰り出すに違いないと思い、

2時少し前に行ったら正解!

お客さんは6割程度、

いい感じで入店できました。

 

これが噂の「仙人小屋」です。

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建物の外壁には

何頭もの熊の毛皮が飾ってあり、

入り口には迫力のある剥製が置かれていました。

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引き戸を引くと目の前には

手書きのメニュー看板がドンと置いてあります。

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すごいです。

目移りしてしまいます。

 

その場で注文をしてから

席に案内されるというシステムのようで、

僕は今旬の「きのこの天ぷら定食」を注文しました。

 

席に着き、周りを見渡すと、

まさに山小屋のような雰囲気。

カウンター席などもあり、

ビールを飲んで歓談している人もいて、

ちょっとそこだけ

バーのようないい雰囲気です。

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間もなく「きのこの天ぷら定食」やってきました。

 

まずは見てビックリ!

この天ぷらの量、はんぱないです!

将棋崩しのように、

下の方の天ぷらをつかんだら

ドドっと皿から落ちそうな量です。

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油物は胃にこたえそうなので、

これ全部は食べられないかも・・・

と思いましたが、

気合を入れ直して一番上の天ぷらをがぶり。

 

うまい!

衣はサクサク、そして中のきのこの味が濃い。

口から鼻にかけて山の香りがツンと抜けていく。

そしてもう一つ。

今度は最初のきのことはまた違った味。

ちょっとヌメリがあり、きのこじゃないような食感です。

そうしてまた一つ。

今度は上品な香りと茎のシャキシャキした食感が

松茸のようです。

 

一つ一つ全部味や触感が違う。

それを、確認しながら食べる楽しさ。

正直どれがなんというきのこかわかりませんが、

明らかにスーパーで売っているきのことは

全く別の食べ物のような気がしました。

 

天ぷらを休んで、今度はきのこスープを口にしました。

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うまい!!

トロリとした醤油ベースのスープに

いろいろなきのこのエキスが混然一体となって

これがまたすごいおいしいのです。

いやむしろ、天ぷらよりもきのこのうまさが

凝縮しているかもしれない。

ふと隣のカウンターを見たら、

女性がひとり、きのこの網焼き定食のようなものを

焼きながら食べていましたが、

ひょっとして焼いたりスープにしたりする方が

もっときのこの個性が出るのかもしれません。

 

あんなにあった天ぷらも、スープも、

ご飯も小鉢も、

あたりまえのように完食です。

歳とともに揚げ物系が苦手になってきた僕の胃袋ですが、

今日は若返ったように働いてくれました。

 

お店のおかみさんらしき人と

常連の人の会話が聞こえてきました。

 

「また来たいけど、10月になるかな。

きのこはまだある?」

「そうね~、ギリギリだと思いますよ。

なにせ今しか生えないから・・・」

「じゃあ10月に入ったら今度は何かな?」

「そうですね、仙人次第だけど、

鍋料理とかになってくるかもしれないですね・・・」

 

そう、ここのメニューはその日の仙人次第なのです。

仙人が山から採ってきたものが

その日のメニューになって出てくる。

(熊肉とか鹿肉は保存しているでしょうけど・・・)

 

ああ、ちょうど秋の旬の料理を食べられたなあ、

と思ったのですが、

いや、季節の旬どころではないのです。

その日の旬なのです。

しかも地元の食材、なんて生易しいものではありません。

仙人が森で見つけた食材です。

ここに”流通”なんて言葉は意味をなさないのです。

そのぐらい八ヶ岳とシンクロしまくっている「仙人小屋」。

 

会計を済ませてクルマに向かったら、

店の前の軽トラの前で

一休みしている作務衣を着た仙人の姿が。

(ネットでお顔を拝見しておりました)

あ、仙人だ!と思って

「ごちそうさまでした」

と声をかけたら、

一仕事終えた男の

ワイルドだけどシャイな笑顔が返ってきました。

 

ちなみにきのこを売ってました。

こんなのとか・・・

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こんなのとか。

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うちの雑木林にもちょこちょこ生えているのですが、

なんだかスケールが違う。

奥深いきのこの世界に、

一歩足を踏み入れそうな自分がいます。