週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

人生なんて庭の落ち葉を掃ているようなものよ。

もしも

今年は会社を辞めようかどうか迷っていたり

働き方改革とかに興味がある方は、

今日(3日)の朝日新聞(朝刊)に出ている

「会社で生きる」というコーナーで取り上げられた

渡辺さんの記事は、

大きく勇気づけられると思います。

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記事を読んでいただければわかりますが、

中間管理職時代に摂食障害になってしまい

54歳で大手企業を辞め、

かやぶき屋根の職人のインターンを経て

魚沼の地域おこし協力隊員になって

地域の人と一緒に

村の活性化活動に貢献している、というお話です。

 

実は彼は僕と同期で、

今でもとても仲良く、

魚沼に赴任してからも

何度も遊びに行っていて

僕が行くと家の鍵が開けてあって

勝手に入って飯食ったりテレビ見たり

好き放題やらせてもらっている仲です。

 

www.kogysma.com

 

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記事は「働き方改革」というテーマに則っているので

それとは違う

「働き方意識の自己改革」という視点で

記事にない裏話と

それに啓発されている自分をご紹介したいと思います。

 

彼は会社員最後の頃は

会社の近くの病院に寝泊まりしていたぐらいで

朝は病院から出社し、

仕事が終わると病院に戻って治療、

そんな毎日を送っていました。

 

とてもストイックでまじめな性格で

オンとオフの切り替えができなくなり、

クルマで例えると

エンジンの回転が6000回転のまんま

止まらずにオイルが切れ、

焼けつく寸前だったと思います。

 

一度すれ違いざまに

「よう!」と声をかけたら、

全くうつろな目で

全くこころここにあらずと言った感じで

「おう」と声が返ってきたことがありました。

 

大丈夫かな・・・

そう思った矢先の早期退職。

 

悩んでいた彼にかけた

奥さんの一言がすごい!

「明日にでも会社を辞めて欲しい。

いい大学を出て金看板を背負って

同じところにいる人は、

こういうときに決められないわよね!」

 

辞めた直後に電話があって

一緒に飲んでのですが、

妻のこの後押しがあったから俺は決心できた・・・

としきりに言っていました。

 

僕は彼が辞める8年前に辞めているので

「先輩として話聞かせてよ」

なんて笑って言われて飲んだのですが、

その時彼は、社会保険労務士の資格を取ろうと

思っている、

そう話してくれました。

 

ところがどっこい。

 

その1年後です。

「俺、魚沼に行くことにした」

と電話がありました。

 

えええ~!?

と思ってまた飲んだのですが、

たまたま有楽町を歩いていたら

たまたま目についた地域おこし協力隊の

募集イベントののぼりが目につき、

たまたま入ったところが魚沼のブースで、

年齢制限を聞いたら全然NGだったので

引き返そうとしたら、

話だけでも聴いてください、と言われて

聞いた話がかやぶき体験で、

それまで全く縁のない世界だった故に

ほんの少し興味が湧き、

適当な返事をしたら

インターンすることになった、と。

 

そしてそこで汗をかいた体験が

目からうろこで、

いかにかっこよくて人間らしくて、

終わった後帰路につく時見る夕日が

あまりにもきれいで、

クルマを降りてぼーっと沈む夕日を眺めるという

ただそれだけのことが

なんて贅沢なんだ・・・と思った、

と言っていました。

 

隊員として魚沼に赴任した彼は

別人のように元気になりました。

頭もいいのですがそれ以上に人柄も良くて

周りの意見をきちんと聞いて

みんなと力を合わせようとする態度が

とてもよかったのだと思います。

 

彼は魚沼の問題点を

瞬時にして理解したようです。

それは長年厳しい仕事を経て

培った洞察力というか先を読む力というか、

え?これ今やらないとあとあと問題になるでしょ!

みたいなことがたくさんあって、

それが逆に農業などに携わっている人には

わからなかったらしく、

ひょっとして自分の会社員時代に培って

今ここで活かせる能力というのは、

こういう先を読んで仕事をすすめる、

ということかもしれない!と気づき、

それを実行したら

こんな人村にはいない、とばかり

重宝されて、

今では渡辺さんの任期が終わったら

どうすっぺ・・・

と、集落の人や役所の人たちみんなが

彼をこの村に留める策を考えあぐねているようです。

 

「で、任期(今年の秋)が終わったらどうするの?」

とこの前彼に聞いたら、

「全く考えていないけど、

でも何らかの形で魚沼のみんなとの関係は続けたい」

と目を輝かせて言っていて、

そこには、生活費をどうやって稼ぐか・・・

みたいな話は一切出てきませんでした。

 

マーケティングとか財務とかやっていた彼が、です。

 

そしていいことを教えてくれました。

 

「人生なんて庭の落ち葉を掃いているようなものよ。

掃いたと思っても、掃いたそばから風が吹いて

振り返ったら歩いて来た道なんて

落ち葉で消えているよ」

 

生きている”今”にこそフォーカスしなさい、

というか、

”今”にフォーカスしすることしかできないのだから

最大限”今”を生きなさい、というか。

 

僕は彼より早く会社をリタイアしたものの、

彼のようなクリアな哲学がまだありません。

 

あいかわらず過去に引きずられています。

未来にビクビクしています。

でも、彼のところに行って

彼の話を聞いていると、

ほんの少しずつですが

小さい頃の親のしつけとか、

わんぱくな時の世間の眼とか、

学生時代の周りの空気とか、

社会人としての稼ぎの大小とかにとらわれて、

自分を自分で足枷してきた自分に

悟りを開いてくれるような

言葉を投げかけてくれる、

もう一人の自分が時々現れます。

 

「心が冷えてきたら、

猫のように陽だまりを求めて生きなさい。」

 

「生きている舞台が暗いと思ったら、

スポットライトが当たる場所に行きなさい。」

 

昨日風呂上りにビールを飲もうとして

発泡酒を手にしたら、

正月なんだからエビスビールを飲みなさい!

と怒られ、

今朝一人八ヶ岳に向かおうとしたら、

薪ストーブの薪、けちらずに使うように!

と言われ、

普段だったら笑い話で一蹴してしまう僕ですが、

 

「そうやって自分に贅沢することも

自分に投資することの一つだから。」

と、

かすかですが確かに聞こえてくる

そんな自分の声にもっと耳を傾けて、

今年はキリキリ巻いたネジを緩めて

行ってみようかな、と。

 

とりあえず今月の13、14日は、

彼の魚沼に行ってくる予定です。

 

また教えをいただき

ご報告したいと思います。