週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

小さな集落の「塞の神様」を見た

魚沼の旅、2日目。

昨日のことです。

 

僕が訪ねたW君の住む小さな集落で、

「塞の神祭り」が

朝から行われるというので、

参加してきました。

 

「塞の神」は、

村や部落の境にあって、

他から侵入するものを防ぐ神様です。

 

村境は異郷や他界との通路であり、

悪い霊や病などが入りやすい場所と

考えられていました。

そういった外敵から

村を守る神様、

その神様に村人の安全と無病息災を願う祭りが、

「塞の神祭り」です。

 

雪の積もった田んぼを

かんじきで踏み固めて、

そこに青竹でティピーのように櫓を組んで

その中に藁をつめ、囲います。

 

そしてそこに火を付けます。

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火を付けたとたん

煙がもうもうと立ち始め、

やがて炎が天を焦がすように吹き上げ始めました。

 

青竹のバチンバチンという

ものすごい破裂音が

静まり返った雪原に吸い込まれます。

 

近くにいたら

もうやけどしそうに熱い。

 

その熱さをよけながら

配られたお神酒を飲んで

神様に想いを伝えます。

 

あっという間に櫓は燃え尽きていきます。

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それを神妙に見守る村人たち。

藁が燃え尽きるまで30分もかからなかったと思います。

祭りはあっという間に幕を閉じました。

 

ここはご多分に漏れず高齢化が激しい集落です。

担い手がおらず困っていて

地域おこし協力隊を募集し、

僕の友人が隊員として赴任しました。

彼は現在58歳。

でも村では若者です。

村の皆さんが我が子のように

気にかけてくれるといいます。

(村の人たちにとっては子供のような年齢なのです💦)

それを”面倒なお付き合い”と思わずに

積極的にかかわってくれるので

とても重宝されています。

 

彼曰く、

「付き合いを面倒がるのではなく

楽しもうとすれば、

こんなにいいところはないよ。」

 

この集落、

実は平均年齢でいうと意外と若いのです。

なぜかというと

小さい子供が7~8人ほどいるからです。

 

昨日は女の子3姉妹が祭りに来て、

藁を燃やすのを手伝ってくれました。

小さい力で藁を返すぎこちない姿を見て、

大人たちが嬉しそうに力を貸していました。

 

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聞いたら、

集落を出て都会に行った女性が

結婚して子供を産んで、

でも様々な事情で

子供を連れて

実家に戻って来るというパターンが

最近結構多いのだとか・・・。

 

田舎は

食べ物もおいしいし、

空気もきれい。

なんといっても

集落全体が子供たちの成長を

見守ってくれる。

都会にはない環境です。

というか、

その大切さを見失っている暮らしです。

 

女性が生きづらい世の中・・・

そうメディアは言い続けていますが、

もっと細部に目をやれば

幸せはいっぱいあるような気がします。

心の持ちようで、

幸せは見つかるのだと思います。

 

そして何よりも楽しそうなのは

お年寄りの皆さんでした。

 

一人のおばあさんの、

じゃあコーヒーでも飲みに行くべ!

という一声で、

女性陣は誰かの家にお茶会へと消えていきました。

 

残った男性陣はというと

お神酒で多少酔いながら、

無事「塞の神祭り」が終わったことを

誇らしげに語り合っていました。

 

「塞の神様」を僕は確かに見ました。

 

男性陣を笑顔にする元気な神様を。

女性陣のお茶会についていく小さな神様を。

 

 

それは3人の姉妹でしたが、

集落の人たちを元気づけて、

きっと無病息災を約束してくれるでしょう!