週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

「切手」があるから郵便する価値がある、と思います。

仕事先の広告代理店から

A4サイズの封筒で

書類が届きました。

 

するとそこにハガキがセロテープで止めてあり、

”切手代が85円足りません。

もしもこの封筒が必要ないのなら

空けずに送り返してください。

必要でしたらハガキに85円分の切手を貼って

ポストに投函するか、

もしくは近くの郵便局に来て

不足分の切手を買って払ってください・・・”

 

そんな内容が書かれていました。

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封筒の中身が何なのかわかっていたので、

封を開け、ハガキを近くの郵便局に持って行って

85円分の切手を買いました。 

このハガキは

そこから新宿郵便局へ持って行かれて

最後に承認されるのでしょう。

 

なんだか関係するすべての人が

とても徒労に終わるような気がしました。

 

85円のために・・・といったら

言い過ぎかもしれませんが、 

85円を回収するために

僕が郵便局まで足を運んで、

そこから配達人の人が

新宿の郵便局まで、

時間とガソリン代をかけて運ぶことを考えたら、

その経費や時間をお金に換算すると

85円じゃ済まないと思います。

 

もちろん山のように配達物があるので、

こういった一つだけにフォーカスすると

採算の合わない作業にも

丁寧に対応しているのだと思いますが、

インターネット時代です。

僕の会社とその広告代理店との

他の仕事での請求書のやり取りは、

”pdfファイルにしてメール添付”

で終了です。

もはや郵送ではありません。

 

今回送られてきた資料というのも

クライアントとなる企業のパンフレットで、

もうホームページに同じことが記載されているので

敢えて送ってもらう必要のないものでしたが、

念のために、一応・・・

そんな気持ちで送ってもらった資料でした。

 

運送会社などがどんどん参入している事業です。

民営化になったとはいえ

郵便事業はやがて産業遺産のように

過去の出来事にになっていくのかもしれません。

 

でもしかし、

僕はこの郵便というアナログで無駄とも思える

情報のやり取りの中で、

運送会社にもインターネットにもない

大事なことがあると思っています。

 

それは「切手」です。

 

僕は誰かに何かを郵便で送る時、

その相手とか内容とか時節を鑑みて、

「どんな切手を貼ろうかな・・・」

と考えます。

それは一つの楽しみでもあります。

 

ほんの少しだけ、プラスα、

自分の気持ちを込められるような気がして、

今でもいろいろな記念切手を

集めています。

 

なおかつ、

めずらしい切手が貼ってある手紙が届くと

仮に中身が請求書でも嬉しくなります。

消印の押されたその切手を

水につけてはがし、

乾かしてノートのコレクションしています。

 

僕が一番好きな切手が、これです。

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1972年の札幌オリンピックの記念切手です。

シートで6枚ほどあります。

 

1972年というと、僕が10歳の時です。

盲腸をこじらせて腹を3回切開されて、

ガリガリに痩せて、

医者には、

体が回復しても運動は避けるように・・・

と言われていた弱っちい時期で、

僕の家のテレビでは

NHKのほかに民放2局しか映らなくて、

競技自体の記憶は残っていないのですが、

トワエモアの歌うテーマソング、

「虹と雪のバラード」がやたらと印象に残っていて、

なんだかすごいなあ・・・と思った

オリンピック・イベントでした。

 

この切手を見ると

その頃の記憶がよみがえります。

当時はハガキが20円、

封筒が50円だったのでしょうかね。

この僕にとって忘れられない切手を貼るのは、

いつ、誰に、どんな内容のメッセージを

送る時なんだろう・・・?

眺めていると、

ふとそんなことを思います。

 

こんな風に過去を振り返り

未来へ思いを馳せさせてくれる切手が

僕は大好きです。

 

今回の不足分、

そんなわけで82円の記念切手と

3円分の切手を合わせて買って

支払いしました。

 

このどうでもいい内容の

事務手続き上のハガキを目にする

すべての人に、

ちょっとだけいつものルーチンワークに

花が咲くよう、

花をモチーフにした切手を貼りました。

 

たかがハガキを出す行為に、

自己満足でしかないかもしれませんが、

妙な達成感を感じることができました。