週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

ときをためる暮らし、を目指したい。

今週末は

仕事とプライベートの両方が重なり

八ケ岳には行けずじまい。

 

八ケ岳はどうなっているかなあ・・・

なんて思いながら

夜な夜な東京の家で眠る前に読むのは、

八ケ岳やライフスタイルに関する本です。

 

そういう本が、一番すうっと眠りに誘ってくれます。

同じ本を何度も読みなおすこともあります。

 

中でも僕が大好きなのは、

愛知県で半分自給自足の暮らしをしている

つばた修一さん・英子さんご夫婦のききがたりを集めた

『ときをためる暮らし』(文春文庫)です。

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『人生フルーツ』という

ドキュメンタリー映画にもなったので

もうご存知だと思いますが、

このお二人のライフスタイルや価値観は

まさに理想です。

 

ご主人の修一さんは

2015年の6月に他界されました。

 

建築家であり都市計画家でもあった修一さんは

アントニン・レーモンドやル・コルビジェ、

吉村順三といった

偉大な建築家の流れを汲んでいます。

この本の表紙の写真にも

その思想を感じるものがあります。

 

英子さんに言わせると

修一さんは給料をはるかに超えるヨットを買ったり

本を出版しても入った印税でその本を買い取って

いろんな人に配って結局赤字になったり、

冠婚葬祭には一切顔を出さないと決めていたり、

いわゆる天衣無縫の偏屈者だったようです。

 

でもそんなご主人に何一つ不安や恐れを感じず

(本当は感じていたのかもしれませんが)

 

「未来に向けて新しい暮らしをするんだって思っていた。

いつも前だけ向いて、あまり心配はしなかった。」

 

そう言い切ってしまい、

なおかつ修一さんに、

 

「組織のトップになったり、大学の名誉教授になるとか、

そういうコースあったのかもしれませんけど、

僕はそういうことに興味がなかった人間です。

男の身勝手を許し、それを評価してくれる人が奥さんで

よかったですね。

英子さんに育てられたんじゃないかと思いますよ」

 

そう言わしめた英子さんの

とてつもない人間の大きさに

胸を打たれます。

 

楽天的で未来志向で前向きでやんちゃで、

どうしてこ考え方が出来るのだろう・・・

と思いながら読んでいくと、

その根底にあるものが浮き彫りになってきます。

 

半田市の造り酒屋で生まれ育った英子さんは、

幼い頃からいろいろな食材や料理に囲まれていた。

人見知りするタイプだったようですが、

ずっと厨房や酒蔵で行われていることを

好奇の心でながめていました。

 

だから修一さんと結婚して

どんなに金銭的に苦しくても

土地があって

その土地が自分の命の糧を提供してくれると思うと

恐れることはあまりなかったのだと思います。

いやむしろ、それを楽しんでいたぐらいの感じです。

 

人生100年。

夫婦二人が老後もらえる平均的な年金は22万円。

一方で普通にな暮らしをしたいと思うなら27万円が必要。

ざっくりと言ってしまえば

そのマイナスの差額から勃発している年金問題ですが、

田舎に土地を持てばいいのです。

借りればいいのです。

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人生100年、と考えるより、

人生フルーツ、と考える。

 

お金をためる暮らしより、

ときをためる暮らしを。

 

このお二人の生き方は

たとえ世界中の貨幣経済が破綻しても

怖がることはないことを、

日本に住めることの豊かさを再確認させてくれて、

八ケ岳に行けないストレスフルな東京の夜、

副交感神経をもりもり活躍させてくれる、

僕の健康のバイブルになっています。