週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

神代欅のダイニングテーブルの思い出。

昨日は山小屋の年末お手入れをしました。

 

何故大掃除、と言わないかというと、

掃除ではなく、大事にしているものの手入れが

主だからです。

 

自分が大事にしている家具や小物を

丁寧に拭いたり磨いたり・・・。

 

そんな大切にしているものの中で

山小屋の雰囲気には合うんだけれど

これがダイニングにあるのは違うだろう、

でも一生大事に使い切ってやろうとしているものが、

このテーブルです。

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長さ:約210センチ。

幅:約60~80センチ。

ダイニングテーブルとしては細長くカーブしていて

あまり使い勝手がよくありません。

 

そもそもこのテーブルは

今から10年ほど前に

仕事用のデスクとして買ったものです。

 

独立してなんとかようやく食っていける収入が入るようになり、

自宅のすぐそばに事務所(ワンンルームマンション)を

借りる時に、

これからの仕事の発展を祈って・・・!

とばかり、

こだわって買ったものです。

 

どうこだわったかというと、

一枚板の大きなデスクが欲しいと思いました。

 

一枚板は都内近辺で多少扱っている店がありましたが、

流通量は多くなく、

いまひとつピンとくるものがありませんでした。

 

そこでインターネットなどで調べて

四国の西条市というところにある

「近藤工芸」という家具屋さんに出会いました。

kondo-kougei.co.jp

いろいろな種類の木の一枚板を

大量に在庫していて、

それも温度管理や湿度管理にこだわりが感じられました。

 

速攻で四国に向かいました。

今でも思い出しますが

広い店内を埋め尽くす無数の板、

展示されている椅子、テーブル、ボードなど

圧倒するほどの迫力でした。

 

最初僕は

明るい板を探していました。

仕事に精神的に暗くならないよう

せめてデスクは明るい色に・・・

と考えていました。

 

ところが店内を見ていたら

黒に近いこげ茶が神々しく光る板に出会いました。

「これは何という板ですか?」

そう尋ねると、

「神代欅(じんだいけやき)といって、

千年以上にもわたって地中に埋められていた大木で

開発などによって掘られたときに出てくる

半ば化石化した木です。

なかなか出会えない木です。」

と言われました。

 

そういううんちく、というか、

そういう出会いに奇跡を感じ、

一目ぼれです。

もう明るいとか暗いとか関係なし。

 

「これをワークデスクにしてください」

とお願いしたら、

「神代欅はとても固くて重くて

普通の木以上に割れたりする可能性がありますので

お手入れはちゃんとしてくださいね」

と言われました。

 

あれから10年後の今。

 

事務所がワンルームマンションから

千葉の勝浦の山小屋になり、

そうして2年前からこの八ヶ岳に来て、

今ではワークデスクではなく

ダイニングテーブルにされてしまっている神代欅。

 

昨日は

近藤工芸でもらったカルナバワックスで全体を磨き、

こうした禿げたり色あせたりした部分には

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オイルを塗り込んで

丁寧に一年の労をねぎらいました。

 

まだまだムラがありますが、

完成!

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黒光りが戻ってきました。

 

今僕はこのテーブルで

仕事もするしご飯も食べています。

比率にして言うと、50:50ぐらい。

 

これから先はどんどん食事の比率が上がっていくでしょうね。

 

ワークデスクとして買ったこの一枚板のテーブルですが、

ダイニングテーブルにはそぐわないからと言って

別の部屋に閉じ込めるのか

はたまた売ってしまうのか、

そんなことはしません。

 

この細長く使い勝手の悪いダイニングテーブルに

これからどんな食卓のドラマが生まれていくのかなあ、

そんな風に思えるのは、

モノが与えてくれる幸せの形だと思います。