週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

魂を揺さぶるアートに出会った

八ケ岳の山小屋に絵を飾りたい、と思っていて

暇を見てはサイトなどで

アーティストや作品を調べていたのですが、

なんとなくいいなあ・・・

と思ったアーティスト(女性)がいました。

そうしたら偶然にも彼女が

妻の友人の友人だったことがわかり、

その友人の紹介で

今日彼女のアトリエにお邪魔することになりました。

 

彼女の名前は、木原千春さんといいます。

twitter.com

新進気鋭の画家で

BSフジの『ブレイク前夜』という番組にも

取り上げられたことがあります。

www.youtube.com

 

実際にアーティストのアトリエに

お邪魔できることなんてなかなかないので、

少しドキドキしながら

車を走らせました。

 

彼女のアトリエは都内のマンションの5階にありました。

「わざわざありがとうございます!」

そう言って迎え入れてくれた住居を兼ねた部屋は

足を踏み込むと画材やキャンバスで

溢れかえっています。

絵具にまみれた空間に

圧倒されましたが、

全開された部屋の窓から

5月の風が通り抜け、

そこはオアシスのような心地よい聖域でした。

 

コーヒーをいただきながら

妻はいろいろ話をしているのですが、

僕は壁一面にぎっしりと掲げられた作品に

目が釘付けにです。

 

WEBなどで写真で見るのとまったく違います。

 

彼女は中学時代から絵にのめり込み

高校も中退し絵を描き続けています。

日本のみならずニューヨークや香港などでも

個展やグループ展を何度か開いていて、

貫くテーマは「VItalism」です。

 

万物の意思を絵画で表現し

人間が持つ力強さに自ずと帰郷するように

鑑賞者に少しでも伝えることが

出来ればよいなと思っています。

余計な膜を纏わぬよう削ぎ落し

感覚に飛び込んでくる

生々しい状態で

磁石に吸い寄せられるように

霧の中を進んでいます。

(中略)

私にとって制作は可能性で

生命の気力と申しますか

これからも生涯追求していきたいと

思っています

※「Vitalism Ⅴ」より

 

そうある通り、

小柄で華奢な体からは想像ができないほど

作品には鬼気迫る命のパッションが

脈を打っています。

 

おしゃべりの中で彼女が

「私、筆圧が強いんです」

と言っていました。

そのためキャンバスは板の上に張り付け

生地がゆがまないようにしているとのことです。

また、筆だけではなく

指や関節、手のひらなどを使って色を塗るのが

彼女ならではの描き方らしいです。

テクニックのことは僕にはわかりませんが、

描き始めると数時間で仕上げてしまうとのこと。

魂が舞い降りたように

一心不乱に一人キャンバスに集中する

彼女の姿を想像したら、

ゾクゾクと鳥肌が立ちました。

 

彼女は一匹の猫を飼っていました。

保護猫だという5歳のキジトラ猫は

人懐っこいのか怯えているのかわからないぐらい、

ときにはちょっかいを出してきたり、

かといって近寄ると

猫パンチを繰り出してきたりで、

でも彼女の描く絵のように

全身全霊で生きていました。

 

彼女の絵のモチーフは

猫がとても多いです。

そのほかにカラスや燕、ふくろう、うさぎなどの動物や、

蝶、蛙、蟻、蜘蛛、蛇などの昆虫、

さらにアインシュタインや浮世絵の女性など

さまざまです。

すべてが命を与えられたように

喜びがキャンバスの上で踊っています。

昨日誕生日でまた一つ歳を取り、

弱音を吐いていた僕の命ですが、

思いっきりビンタされたような気分になりました。

いや、あまりに爽快です。

 

飾ってあった中から

先月末に描き上げ、

ニューヨークの個展に出す予定でいた作品が

とても気に入ってしまい、

譲って(もちろん購入です)もらえないか聞いたら、

快く譲ってくれました。

これがその作品、「Black Cat」です。

うちにも2匹の猫がいるので

これで3匹の猫を飼うことになりました。

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絵がうまいひとや

きれいな絵を描く人はたくさんいます。

これを飾ったら

部屋はおしゃれになるだろうな・・・

なんて思う作品はいくつもありますが、

家に持って帰り

部屋の壁にかけてみたら、

コロナでよどんだ空気を振り払い

家の体温が急に何度か上がったように

明るくなりました。

 

絵とかにあまり縁がないと思っていましたが

ようやく響き合える絵に出会えました。

 

このうえなくうれしい

バースデープレゼントになりました。