今日の午前中は
仕事で関わっている
何かと話題に上る街の駅前再開発の
竣工を前に、
建物の下見です。
公共施設、商業施設、住宅が入る
複合商業施設ですが、
住宅棟は38階建てのタワマン。
最上階には東京の夜景が見渡せるバー&ラウンジが、
屋上には夜空の下で映画が見られる広場と、
緊急時のヘリポートもあり、
至れり尽くせりの住まいです。
屋上から眼下に広がる街は
おもちゃ箱のようで、
目を遠くにやると
多摩川や東京都心の高層ビルが
梅雨の霞の中でぼんやりと見え、
この世のものとは思えない景色でした。
人がたくさん集まる街では
眺望が悪くなります。
誰よりも気持ちのいい眺めを欲して
その結果上へ上へと住まいは登って行き、
100メートルを超える高さにまで
競い合うようになっていったのでしょう。
高いお金を払って、
エレベーターでエネルギーを使ってまでして
どうしてどんどん高く登ろうとするのだろう?
高所恐怖症の僕は
ガクガクと足を震えさせながら、
この高いところに住みたいと思う人の
気持ちがわからず、
案内してくれるディベロッパーさんに
すごい眺望ですね~!と忖度しながらも、
早く地上に降りたいなあ・・・
と思っていました。
下見が終わり家に戻り、
コーヒーを飲んで一息ついて、
さあ、八ヶ岳に向かいます。
二匹の猫と妻に
行って来ます、と言って、
一路八ヶ岳に向かってクルマを走らせました。
僕は高速道路が好きじゃないので
時間があって一人のときは、
大月ICで下りて
国道20号線を行きます。
途中甲府市内で
週末の山小屋暮らしを予感させるような
ドラマティックな風景に出会いました。
厚い雲の隙間から降臨する陽の光に
神様を重ね合わせてしまうのは、
日本人だけではないと思います。
こういう光景との出会いが
旅を楽しくさせてくれます。
一人ぼっちの週末に
勇気を与えてくれます。
途中のスーパーで買い物をして
山小屋に到着したのは
7時ぐらいでした。
それでもまだあたりは明るく、
先週は聞こえなかった
ひぐらしの大合唱が
山小屋を包み込んでいました。
いくつもの荷物を抱えて
ひぐらしの合唱を邪魔しないように
そおっと雑木林の庭を通り
玄関のカギを開け
家の中に入ります。
土と木の匂いがぷーんと鼻を突きます。
ここでは庭仕事の疲れで
足が震えることがあっても
エレベーターで足が震えることはありません。
誰もいない部屋に
思わず、ただいま、とつぶやいてしまいました。