朝散歩をしていると
道端に栗が落ちている。
イガイガは大きいけれど
全体は小さい。
小さい頃の栗拾いを思い出し
靴の底でイガイガを剥ぐと
きれいな栗が出てきました。
ちいさっ!
でも栗は栗です。
こんなものを10個ほど拾って東京に持って帰って
栗ご飯にしたら、
ちょっとした秋の恵みを味わるかも・・・
なんて思いながら
歩いていたら、
「おーい!」と声が聞こえました。
目を上げると
ご近所の山男、この地の主、Fさんではありませんか。
(このブログでこれまでFさんは何度か登場しましたが
最近僕の中では八ヶ岳の主です)
「これ、ずごいぞ!栗がいっぱいおっこっているぞ~」
Fさんは雑木林なのか畑なのかわからない栗の木の下で
栗拾いをしていました。
「こんちわ~」といって近づくと、
お店で売っているような
大きな太った栗が
たくさん落ちています。
でもこの土地、誰の土地かわからないし、
入っていいんですか~?
と言ったら、
「だってここら辺の家に誰もいる様子がないだろう?」
とFさん。
見ると2件ほど家があるものの
何年も誰も来ていない感じです。
「これ、放っておいても虫に食われるだけで
こんなもったいないことないだろう。
誰も拾ってあげないのなら
俺が拾ってあげるしかないだろう。」
うーん、確かにその通り!
「誰の土地かわからないけれど
家に人がいるようだったら
菓子折りの一つでも持って
”栗をいただきました”と言って
挨拶に行こうと思うのだが、
何せ誰もいやしない。」
うーん、確かにその通り!!
というわけで、
僕もその場所に行って
一緒になって栗拾いをしました。
道端に落ちている栗とは大違い。
その5倍ぐらいの大きさです。
(上が道端の栗、下がFさんが拾っていた栗)
2人して童心に帰って栗拾いに夢中になっていたら、
「たくさんとれますか~?」
と、散歩中のご夫婦が声をかけてきました。
「いや~、これ見てよ。
こんな立派な栗が落ちているよ。」
といって、
両手いっぱいの栗をご夫婦にあげました。
「え~!うれしいんですけど、栗の食べ方がわからないし・・・」
と戸惑うご夫婦に、
「剥けばいいんだよ。それをご飯に入れて炊けばいいんだよ」
とFさん。
なんという豪快さ。
遠慮はしないけど、誠意は忘れず。
ややもすると人の土地だし
文句を言われて危険な人間関係になるのが怖いし・・・
なんて思いがちの昨今ですが、
その態度に感服いたしました!
僕も両手いっぱいの栗を拾いました。
「今日は栗ご飯作れよ!はっはっは~!」
と笑って去っていくFさん。
でも家の山小屋には炊飯器やご飯を炊く鍋がまだないし、
家族で八ヶ岳の秋の味覚を味わいたいので
東京に持って帰って栗ご飯しますよ~!
って、もう聞こえていないな・・・。