昨日は八ヶ岳南麓で
パーマカルチャーをベースに農的暮らしを実践している
西尾さんという方が主宰する
小麦クラブに単発参加してきました。
西尾さんは60歳の定年と同時に
文明の最先端を行く広告代理店を離れ
八ケ岳南麓で自然栽培の農的暮らしを始め、
その体験をたくさんの人に広めている方です。
全体で1000坪ぐらいはあるでしょうか。
ただの雑草地と思いきや
よく見るとスパイラルに石を組んだ庭や
ティピーのような柱が組まれた庭があります。
すべては土の力を信じて
その土地の微気象を活かし
農薬や肥料のない作物を栽培しています。
畑の真ん中にある小屋には
コンポイストトイレや雨水タンクがあります。
その隣の温室は
基礎から自分でDIYしたものでした。
昨日は小麦クラブのメンバーが集まり
小麦の水分を計り
適度に水分が抜けたものから刈り取りする日でした。
4種類の小麦のサンプルから
この計測器で水分を計ります。
この水分が20%~25%ぐらいで刈り取るらしいのですが
多くのサンプルが25%前後でした。
見た目乾いたサンプルが意外に水分が多かったり
まだ青いサンプルが乾いたそれより乾いていたり・・・。
この計測器がおかしいんじゃないの?
とか、
今日は小雨が降っているから高いのかなあ?
などなど
みんなで意見を交わしながらも
最後になるとみんな小麦の粒を口に入れ
その噛んだ感じで水分が多いとか少ないとか
言い始めるようになりました。
結局自分の身体こそが一番信じられる、
ということに気づきながら
ほとんどの人が初めましてでしたが、
あっという間に打ち解けていきました。
(勉強会の様子です)
さて、僕はこの小麦クラブに単発参加したのは、
どうして日本では国産の小麦があまりないのだろう・・?
という疑問からでした。
米が出来るのなら小麦だって出来るはずではないか・・・!
でも西尾さんのギャザリングに参加し
いろいろな面で小麦栽培が難しいことを知りました。
まずは気候の問題。
小麦は6月から7月あたりにかけて収穫するのですが、
この時期は梅雨だったり台風が襲ってきたりします。
晴れた日に収穫し天日干しが必要な小麦にはふさわしくないのです。
北海道が小麦の産地になるのは梅雨も台風もないからなのです。
次に機械の問題。
破砕・粉砕する機械が小ロットの収穫にはそぐわず
ポピュラーではないでの
簡単に製粉に至らないこと。
そして何より経済的問題。
中途半端な栽培量では利益にならないこと。
西尾さんのこれまでの努力や
行動費・交通費・機械設備費などを考えたら
まるで間尺にあわないことがわかりました。
(フードマイレージを考えたらなんて高いことか💦)
それでも何故小麦を育てるのですか?
そう聞こうと思ったのですが
西尾さんの話を聞いていてわかりました。
主食になるような作物が強烈な農薬汚染にさらされていること。
そして小麦は勝手に芽を出してくるような強い生命力があること。
そもそも日本は地形や気候が複雑で
大規模農業に適した国土ではありません。
その土地にふさわしい品種が
少量だけど収穫される土地です。
こんな多様性に富んだ国の可能性を活かせるのが小麦でもあり
その小麦の栽培を活かせないのは
日本が日本たる可能性を自ら放棄しているようで
とてつもなく腹立たしくなりました。
昨日は刈り取りまでする予定でしたが
まだ水分量が多いのと雨模様だったので
来週以降に延期に。
また行こうと思うと同時に
雑木林に囲まれているばかりではなく
自分でも農的暮らしをやってみたいという気になりました。
文明の最先端はここにこそ見出されなくてはいけない、
と思いました。