幾層もの分厚く青黒い雲の塊が覆う中
時折その隙間から顔を見せる青空。
雨が降ってくるかと思いきや
さあっと日差しが差し組んでくる。
オホーツクの寒気団と
小笠原の暖気団が頭の上でおしくらまんじゅうをしている
そんな力比べが手に取るように想像できて
思わず顔がほころんでしまいます。
この勝負はいずれ・・・というか、
間もなく小笠原気団が勝利することがわかっていて、
人間同士の勝負であれば勝ち負けの決まった勝負なんて
面白くないのですが、
こと自然となるとその変わらない勝負に
変わらなくてありがとうという
感謝の念を感じてしまいます。
八ケ岳への道中
その勝負をじっくりと眺めたくて
レガシーを止めてリアゲートのハッチを開けて腰をかけ
コンビニで買ったコーヒーを飲むことにしました。
目の前に広がる田植えしたばかりの田んぼと草地。
草の蒸す匂いが夏の風とともに鼻から肺に侵入してきます。
強い日差しが体の余分な水分を蒸発させようと
皮膚の隙間から体内に棘のように刺さってきます。
かくれんぼをしていて
絶対に見つからない場所に隠れたいたら
本当に見つからなくて、
おそるおそる出て行ったらもう誰もいなくて
姿を見せないヒグラシが大勢で僕を笑って見ていた
山奥での小学2年生の夏を思い出しました。
腕時計に目をやるとちょうど5時を指していました。
もう一杯コーヒーを飲みたくなって
少し前に立ち寄ったコンビニまでクルマを走らせようとしましたが
それ以上にお酒が恋しくなって
そのまま山小屋に入ることにしました。
屋か小屋に着いたのは5時20分。
徐々に日差しが弱くなって
瞼が重くなり始めた雑木林に
小学2年生の時以上に
ヒグラシが僕を迎えてくれました。
室温23度。
窓を開け放ち風呂を沸かす。
汗を流し大好きなバーボンをロックで意に落とす。
1時間前は34度の場所から
もう今は23度の場所にいる。
こんなことができる国はそうあるまい。
一方でちょっと行けば土石流や洪水で暮らしの破壊が
同時進行で起きている国もない。
どう考えても腑に落ちない現実。
でもそれを受け止めることしかできない現実。
その現実のど真ん中をセカンドハウスがあることで
行ったり来たりできるというのは
この上ない幸せの扉を
持つことができたということかもしれないと思います。