週末新宿のライブハウスで
元会社の同期Iのバンドが出演するというので
行ってきました。
A高校出身の彼はギターで
テクニックは学生時代に有名人のバックバンドで弾いていたという
折り紙つき。
僕より2つ年上で今年から年金もらうじいさんは
60を前に緑内障やら患って
一時は人生捨てるぐらい落ち込んでいたのですが
お前にはギターがある!
(というか、お前にはギターしかない!)
という勇気
(というか現実)
をみんなで与えた
(というかボコった)
結果、
目覚めて
仲間とバンドを結成し
つい2年ぐらい前から都内の小さな箱でライブし始めた、
という高齢者あるある物語が背後にあって、
僕はそんな彼らの元気に元気をもらうというコバンザメ方式で
苦せずして人生を楽しませてもらうというタイプであります。
会場は新宿の「Kento's」。
いい箱!
で、この日は彼の高校のサークル仲間たちが貸し切っていたようで
出場する8つのバンドは
みんな先輩後輩という同窓会状態。
その家族や友達が集まった会場は
やんややんやの盛り上がりを見せ、
高校が全然違う僕は最初アウウェイで圧倒されていましたが
途中からすっかりホームになっていて
昼間っからすごい勢いで酒が血潮になって体中を巡ります。
演奏はみんなものすごくうまく
中にはセミプロで活動しているおじさん・おばさんもいて
これを3000円で聞けるのならコスパ最高!
そして驚いたのは
この8つのバンドのメンバーの中に
元会社の同期が3人いたということの発見。
演奏が終わったあとは3人も僕たちのテーブルに集まって
元会社の同期会となりました。
高校の同窓会上での元会社の同期会、
という入れ子構造でそこはかとなく記憶が酩酊していく中で
ひとつだけ
それとは真逆の
血潮が流れる血管に
魚の小骨が刺さって取れないような出来事もあったことも
白状します。
実は僕は大学時代
ちょっとだけバンドを組んでいたのですが
その時の一緒にやった先輩がA高校の出身で
出演していたのです。
すごいかっこよくて尊敬する先輩でした。
それを知った僕は
40年ぶりに合えるということで
ひそかに楽しみにしていたのです。
その彼の演奏が終わり
満を持して僕は彼に近寄り
「覚えていますか?大学時代の後輩の●●です!」
と名乗ったら、
「ごめん、全然覚えてないです。あとで・・・」
と一蹴されてしまいました。
いっしょに市民フェスのステージに立ったり
夏合宿までしていて
覚えていないはずはないと思った僕は、
これは覚えていないのではなく
思い出したくないのだな・・・と直感し、
あとで・・・といわれたものの
もう声をかけることはしませんでした。
無論彼から声をかけてくることもなく。。。
僕も大学時代
忘れ去ってしまいたい思い出の方が多いのですが、
バンドの思い出はその中でもちょっと恥ずかしく
甘酸っぱい柑橘系でした。
ですのでレモンのようなフレッシュなスプラッシュが
返ってくると思っていたのでちょっと軽いショック。
きっと彼の人生の中で
僕は葬り去りたい物語の中の出演者の一人、
いや、ひょっとして主人公だったのかな・・・
なんて思うと
こころがざわついて
酔いがすうすうと新宿の夜に蒸発していくのを感じました。
まあ、人生60年も生きているとこういうこともあるでしょう。
来るものは拒まず去る者は追わず。
そうして記憶の断捨離を。
あらためて還暦を超えたおっさんは誓ったとです。