今日の夕方4時ごろ
八ケ岳に入りました。
お客様、入りま~す。
いらっしゃいませ~!
みたいなウェルカム感がまるでない、
曇天の中ひっそりと静かな
凍り付いた八ケ岳南麓です。
車載の温度計を見ると
-1度。
駐車場にクルマを止めて
ダウンでガチガチに身を固めて
まずは庭を見渡します。
冬の突風に飛ばされて
たくさんの小枝が散らばっています。
薪ストーブの焚きつけ用にしようと
その小枝を集めていて
ふと顔をあげたら、
つぼみがふくらんでわずかに開こうとしている
薄い黄色のきれいな花を見つけました。
ロウバイです。
この木はデッキの前にあって
庭の真ん中に陣取っていて、
枝ぶりも美しくなく、
去年はいっそのこと切ってしまおうと
思っていたのですが、
いつも鳥たちがここに集まるので
すんでのところで思いとどまり
残しておきました。
うちの庭は夏になると森のように鬱蒼となり、
木陰以上の湿地ができたりするのですが、
冬はそれが信じられないぐらい
殺風景になります。
木の骸骨が並んだような
死んでしまったかのような庭ですが、
目を凝らすと
そこには確かな息遣いが
かすかだけど確実にありました。
探すと他にもピンクの梅が
今にも花を咲かせんとばかり
ふくらんでいました。
この梅、庭の中央にあって、
枝ぶりがみすぼらしいので
去年切ってしまおうかどうか迷った木です。
よかった~、切らなくて。
この極寒の2月に
春の予感を告げてくれる冬の花は、
未来とか希望とか、
そういう手あかのついた
嘘くさいきれいごとに
リアリティを吹き込んでくれます。
この冬に咲くロウバイや梅などの後をついていくように
だったら僕も、
だったら私も、と、
いろんな植物が芽を出してくる。
それを僕らは春と呼んでいるだけのこと。
どこまでいっても
自然の循環から逃れられないのに、
一生懸命そこから脱出し
コントロールできると思っている人間が
とてつもなくちっぽけな生き物に思えてきます。
ちっぽけな木に咲こうとしている
ちっぽけなつぼみに、
ちっぽけな自分を思い知らされてしまった今日。
ここのところ気落ちしていたのですが、
八ケ岳に来てよかった~!
そんでもって「寒得フェア」で
50%オフの温泉にまた入りに行って、
体も心もほかほかの夜なりそうです。