土曜日に続いてポカポカ陽気の日曜日、
ほとんどがクルマ移動の八ヶ岳ですが、
たまには歩いてみるか、
などと、ひょっこり思いつき、
信玄棒道をトレッキングすることに。
信玄棒道とは
八ケ岳南麓から長野に抜ける山道で、
まっすぐに棒のように伸びていることから
この名がついているらしいのですが、
武田信玄が北信濃攻略のための
軍用道路だったともいわれています。
今では、
・美しい日本の歩きたくなる道500選
や、
・歩いてみたい日本の道100選
とかに選ばれています。
歩いたのは
甲斐小泉から小海線の北側を歩き
小淵沢に抜ける区間。
ちょっと地図が見づらいですが、
およそ8.5キロ、
2時間程度の道のりです。
まずは甲斐小泉の近く、
三分一湧水館の駐車場にクルマを止め、
スタート!
小荒間の集落を抜け緩やかな坂を登っていくと
徐々に道がせまくなり、
やがて砂利道になります。
スタートから10分程度は
おしゃれな山小屋の間を抜けていきますが、
人家がなくなると
山道に入ります。
急に静けさが襲い、
気が引き締まります。
サクサクと枯草を踏みしめながら
雑木林の中を歩いていくと
ところどころに観音様があります。
よく見ると姿かたちや顔が違います。
これは「千手観音」。
これは「十一面観音」。
全部きちんと見たわけではないのですが、
6つの観音様がこの道にはいるようです。
地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天、の世界で
救いを求めて始まった観音信仰は、
やがて庶民にも広がったと言われています。
この棒道を
身分の垣根を越えて
たくさんの人が救いを求めて歩いたのだと思うと、
タイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。
思わず手を合わせてしまいました。
とはいえ歩き続けると
別荘地やゴルフ場の脇道になっていたりするので
思いっきり現実に引き戻されてしまいますが、
棒道という名の通り、
まっすぐに道が伸びている景色には
背筋もスッキリ伸びるような
清々しい気分にさせられます。
1時間ほど歩くと
小淵沢に行く道に交差しました。
その手前では、
乗馬クラブの馬が
いうことを聞かず、
ダダこねていました。
そうか、小淵沢まで歩いてきたんだ・・・
って、あらためて実感しました。
ここから棒道をはずれ
小淵沢駅を目指します。
ゆっくりとした下り坂。
30分ほど歩くと、
小淵沢の道の駅に出ました。
ちょうどお昼ごろだったので
腹ごしらえでもしようと思ったのですが、
かなり混雑していたので、
そのまま駅に向かうことに。
すると道の駅から少し行った
「女神の森セントラルガーデン」で、
「北杜『水の山』映像祭」
なるものが開催されていました。
気になったので入ることに・・・。
映画を上映していると思いきや、
ちょうどピアノライブのプログラムが
始まったとき。
演奏者は小林真人さんという
作曲家・ピアニストの方。
山歩きで疲れていたので
思わず30分ほど聞き入ってしまいました。
とはいえ腹が早くなんか入れろと
グーグー言うので、
隣のホールに行って
お昼を食べることに。
そこには八ヶ岳を代表する食の店が
18店舗ほど出店していて、
フードコートさながらです。
僕は「やまゆり」のおいなりさんと、
「台ケ原珈琲」のコーヒーを注文しました。
ちなみに「やまゆり」は
富士見にあるうどんとパンのお店です。
そこが作った特別なおいなりさんは
5種類のおいなりさんが入って700円。
口の中でホロホロとこぼれるお米の焚き加減が絶妙で、
その味はというとほんのり甘く
それでいてサッパリとしていて
おいしくて夢中になって食べつくしてしまいました。
そのあと台ケ原では有名なカフェ、
「台ケ原珈琲」のブラックコーヒーをすすっていると、
疲れた体がじんわり癒されていくのがわかります。
果たしてここは映像祭の会場なのか、
食の祭典の会場なのか、
わからなくなってきましたが、
こんな楽しいイベントに出会えるとは
思ってもみませんでした。
そうしてお腹を満たしたあとは、
小淵沢の駅を目指すだけ。
途中の小海線。
見上げると南アルプスの向こうから
白い鳳凰が飛んできたかのような神々しい空。
こういう風景をじっくり眺めることができるのは
クルマではなくウォーキングならではの醍醐味です。
そうして女神の森から歩くことおよそ20分。
ようやく小淵沢駅に到着です。
ここから小海線に乗ってひと駅、
甲斐小泉駅まで電車に乗って
スタート地点の三分一湧水館に戻る予定。
15:00ちょうど発の小諸行電車は
ガラガラで
窓から差し込んでくる夕日に
なんだか郷愁をそそられます。
いつもはクルマから見ている八ヶ岳南麓の景色も
電車から眺めるのでは大違いで、
なんだかすごく新鮮でした。
10時半ぐらいに山小屋を出て
16時ぐらいに山小屋に戻ってきた
信玄棒道トレッキングは、
これまで知らなかった八ヶ岳南麓の良さを
再発見させてくれました。
信玄棒道は
他の山のトレッキングコースより整備されていて、
アップダウンもさほどなく、
気軽に楽しめますが、
とはいえ山道です。
登山靴とまではいかないにせよ
歩きやすい靴と飲み物、
山登りに適した服装で臨むことをお勧めします。
たかが棒道、
されど棒道。
家に着くと僕の足も棒になっていました。
おしまい。