今日神奈川芸術劇場で
熊川哲也が率いるK-BALLETカンパニーの新たな試み、
『プティ・コレクション』を見に行ってきました。
何が新たな試みかというと
伝統的なバレエではなく
伝統を基礎とした現代アートへの挑戦です。
僕はバレエのことは知らないし
雲の上の芸術だとぐらいにしか思っていなかったのですが
目からうろこ。
いやいや、目から心の涙がこぼれました。
もらったパンフレットを読まず
前知識が何もないまま観劇したのですが、
人間という生き物が閉じ込められた時間・空間の中で
ロボット蟻のように動く様子を俯瞰で描いたと思えば
突然その蟻の心に入り込んで自由への熱き血潮をほとばせるなど、
マクロとミクロをものすごいスピードで
行ったり来たりしているようで
稀にみる感動でした。
作品のテーマや主張などわかりませんが
全体を通して感じたのは
惹かれあう善と悪、
求めあう光と闇、
不条理の中にある条理、
混沌にこそある真理、
望みにならない希望と絶望、
暗闇の中に咲く愛、
まぶしさで見えない闇、
秒針となる心臓の鼓動、
脈を打つ冷たい冬、
影という光の正体、
光という影の正体、
うごめく時間、
時間をうごめかせる魂。
ヒップホップやジャズダンスがスポーツなら
これは完全にアートです。
仲良しのK-BALLETのプロデューサーが曰く、
バレエダンサーはヒップホップもジャズもすぐにできるけど
その逆はなかなか難しいとのこと。
それだけ肉体を通しての最高の芸術表現なのだと。
でもその伝統に胡坐をかいていてはいけない。
付加価値を加えて進化させていくことにこそ伝統を守ることであり
そのために現代アートとしての昇華の仕方があってもいいと考えたこと。
観客は9割が女性。
そのうちの7割は年配の時間に余裕のある女性たち。
金曜の昼というのに
8割が埋まっていて
ステージの最後はスタンディングオベーションでした。
ありです!
バレエが僕ら庶民の心の闇の中に
舞い降りてきてくれた気がしました。
八ヶ岳では自然のアートを、
東京ではこうして人間が作るアートを堪能できる
このライフスタイルを
改めて好きになりました。