週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

八ヶ岳のつるし雲

まるで牢獄から抜け出す囚人のごとく

それっ!とクルマを駆って八ヶ岳に入りました。

悪いことしていないのに後ろ髪をひかれながらも

やがて南アルプスや八ヶ岳連峰が遠くに見え始めると

ああ、来てよかったと思います。

来るたびにそうなのですが

山はいつだって僕を肯定的に受け入れてくれる、

その感じがとても好きです。

 

ですが今日は八ヶ岳連峰の西側に

見かけない雲がかかっていました。

 

この巨大な宇宙船のような雲は

「つるし雲」あるいは「レンズ雲」と呼ばれています。

 

雲の中でこのつるし雲は入道雲の次に覚えている雲です。

 

冷たい那須おろしが吹く夕暮れに

自転車で学校から帰る途中よく背後にみえた雲で

街全体を乗っ取るかのように覆いかぶさり

いつまでもじっととどまっているその姿に怖くなり

早く家に帰らなきゃ・・・と

せかされた記憶があるからです。

やはり同じように年の瀬を迎えた寒い時期でした。

 

久しぶりに見たつるし雲は

やはりちょっと怖かった。

早く山小屋に到着しないと・・・

子供の時のようにせかされて山小屋に着いたら

ものすごい強い風が吹いていて

止めてあったアバルトのカーシートが全部めくれあがっていました。

 

このつるし雲が出るときは

空は青空で雲は動かず穏やかに見えますが

地上では強い風が吹きます。

そうして翌日は天気ががらっと崩れるのです。

 

カーシートを直していたら

山小屋の管理人も務めていたという山男Fさんが通りかかり、

「今日は風がすごいし明日は天気が悪くなるぞ。

早く寝るんだな」と言って

それが久しぶりの挨拶の代わりになりました。

 

家に入ると室温6度。

外気は2度。

 

冷たく眠った状態の薪ストーブに火を入れると

徐々に部屋は温まり

2時間後には22度までになりました。

 

息吹を吹き返した八ヶ岳の山小屋。

このシェルターに身をゆだね

今宵は久しぶりに一人映画なんぞを楽しもうと思います。