この日曜日のこと。
朝、庭の脇の道路の小枝を拾っていたら
時々見かける年配の方が
自転車から降りて声をかけてきました。
「庭もずいぶんすっきりして、
紅葉も見事ですね」
「そうですね、この時期が一番きれいですね。
雑木林のいいところですね」
ところで誰だったけなあ・・・と思い出せず
お名前を聞いたら、ご近所に別荘を持っていて
陶芸などをされているIさんでした。
しばらく世間話をしていたら、
「どうです、うちに来ませんか?」
と誘ってくれました。
妻も私も喜んでお邪魔させていただきました。
Iさんの家はうちの裏手にあり、
自宅と工房、2つの建物がありました。
ご主人は古希を越えていらっしゃると思います。
物静かな方ですが、
電気自転車を駆使して
増冨の方までサイクリングに行くのが趣味だとか。
初めてお会いした奥様は、
今でも作品をいろいろな場所に出展している
とても元気で活動的な方です。
家の中も見せてもらいました。
玄関をあがるとすぐそこがリビングで、
所狭しと自分の作品や
お孫さんたちの作品などが並べてあり、
自分たちで作ったという
薪ストーブの遮熱壁のレンガには
絵や文様が掘られていて
アートにあふれるとても楽しい空間でした。
お茶でもどうぞ、と言われたのですが
財布も何も置いたまま
家を全開にしてきてしまったので
一旦戻ることに。
東京の方にご自宅があり、
もう年内は来れないかなあ・・・
とおっしゃっていたのですが、
春になったらまたお会いすることを約束して
別れました。
その翌日、月曜日のこと。
日曜日と同じように道端で小枝を拾っていたら、
犬を連れたアウトドア・ウェアが板についた
ダンディな年配の方が声をかけてきました。
「こんだけ木が茂ると大変でしょう?」
「そうですね、きれいなんですが
鬱蒼とし過ぎてこれからどうしようかと・・・」
「ちょっと無秩序にあり過ぎだなあ・・・」
といって庭に入りデッキに上がり、
目の前の高い木を3本指さして、
「あの3本切るだけで
このデッキももっと明るくなるよ」
と教えてくれました。
「これでもずいぶん切ったんですけどね・・・」
「そうだね、いつもここを通るけど、
以前よりずいぶんすっきりしてきたね。
でも木はほんと放って置くと手に負えないから
勇気を持ってどんどん切ったほうがいいよ。
だってここで畑やガーデニングもやりたいでしょ?」
その通り。
雑木林もいいのですが
ガーデニングやちょっとした野菜も作りたい。
見透かされたようです。
え~と、この人初めてだったかなあ・・・
と思い、お名前と家を訪ねたら
これまたご近所に住んでいるFさん。
するとFさん、
「よかったらうちに来ませんか?」
と誘ってくれて、
また妻とお邪魔させていただくことに。
Fさんの家は
うちから5分ほど歩いた
道路から少し入った道の
突き当りにあり、
大きめの家と木工の工房があり、
東と西にカラマツ林があり、
風通しがとても気持ちよさそう。
ウッドデッキの前は
イングリッシュガーデン的な庭で、
バラが植えてあったり、
庭の隅の数か所には
お手製のベンチが置いてあったり、
自分の庭とは全然違う雰囲気です。
デッキには太陽がさんさんと降り注ぎ
とにかく明るくて気持ちいい。
奥様がまあ座ってください、といって
デッキにテーブルと椅子を出してくれると
ご主人がコーヒーを入れてくれました。
同じような業界にいたこと。
山が大好きなこと。
10年ほど前から永住していること。
近くに娘さんご夫婦がいらっしゃること。
お孫さんたちが10人いて、
子供たちのために
木のおもちゃを作ったりするのが好きなこと。
そしてなによりも驚いたのは
多分もう古希を過ぎていると思うのですが
本当にパワフルであること。
いろいろ話をしていたら
お金儲けとかマーケティングとか
そういうのとは程遠いシンプルな暮らしを
目指していることなど、
価値観が僕と同じで、
思わず意気投合です。
「薪に困ったら言ってくれ」
「薪小屋作るなら手伝うよ」
「ちょくちょく会おうよ」
1時間ほどおしゃべりをしていたら
すっかり先輩と後輩のような関係に
なっていました。
今回の八ヶ岳滞在は
見事な紅葉を見ることが出来た以上に、
ご近所の方たちと
知り合いになれたのがうれしかったです。
IさんもFさんも
僕より一回り以上年上のはずなのに
なんでこんなに元気なんでしょう?
迷いがありません。
自分自身を生きている、っていう感じです。
毎日毎日を生きている、っていう感じです。
東京のストレスフルな日々から
逃げるように八ヶ岳に来て、
のんびりと、というかひっそりと
過ごしているのですが、
それだけでは充実した二地域居住に
ならないような気がしてきました。
いみじくもFさんが、
「一日中めいっぱい体動かして、
風呂に入ってビール飲んでぐっすり寝る。
それがここでの暮らしの醍醐味だよ。
暇なんてないんだよ」
と言っていましたが、
そんな当たり前のことに
あらためて気づかされた
とても有意義な週末でした。