週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

老いることと食べること

今日のお昼近く、

業務委託の会社先で打ち合わせが終わったら

その会社の顧問が

ふらふらとやってきました。

 

マスクをして

ところどころ手に絆創膏を巻いて、

頬にはアザがあります。

 

「どうしたんですか!?」

と驚いて聞いたら、

会社の荷車に体を預けて歩いていたら

転んでしまったらしいのです。

それで前歯を折って

マスクをしていたようでした。

 

顧問は73歳になろうとしています。

1年ほど前から糖尿病を患い、

睡眠や排せつにとても苦労をしていて、

徐々に会社にも顔を出せなくなりつつある中、

食事だけは楽しみで、

年末もおいしいものを食べましょう!と、

先週も元気で会社に顔を出した矢先のことです。

 

「これ、見てよ」

と差し出した手が血でところどころ赤いです。

一生懸命拭いたのでしょうが

拭ききれずに残った感じです。

その手で僕に、

「もうダメかもしらん・・・。

これ買ってきたんだけど

食べれそうにないからあんたにあげる」

と言って、

行きつけの喫茶店の

美味しいサンドイッチをくれました。

 

昼、一人でそのサンドイッチを食べながら

なんだか涙がこぼれました。

 

その顧問はイケイケドンドンの

昔ながらの人で、

好き嫌いもハッキリしているのですが、

好かれるも嫌われるのも

ハッキリしている人でした。

その顧問と僕は

もう20年以上前からの間柄です。

 

僕が会社を辞めて独立した時、

周囲から

「なんで辞めるんだよ?辞めないほうが得だよ」

と言われる中、

「立派じゃないですか!応援しますよ」

と言って

家にでっかい胡蝶蘭を送ってくれました。

 

その時は全然違う会社同士、

通り一遍のお付き合いでしたが、

年を重ねるごとに親しくなって

気がつけばその会社のメンバーとして

席まで用意してもらっている関係に

なっていました。

 

顧問は年明け2月をメドに

介護施設に入ることになっています。

この年末、

一緒に食事をできるかどうか

わからない気配を感じました。

 

歳をとると

楽しみや趣味がどんどん狭く狭くなってきます。

そして、

食べることにどんどん楽しみが

集約されていくのだと思います。

 

僕の両親も

老々介護で限界です。

2~3年前までは

実家に帰ると

食べることがすべてとばかり

老体に鞭打って

楽しそうに料理をしてくれましたが、

今では

「お前たちが帰ると食事に気張ろうとして

疲れるから・・・」

と言って、

帰って来て欲しくも

そっとしておいて欲しい、

そんな言葉にならない声を感じます。

 

人間って

最後まで寄り添ってあげたいのに

最後って寄り添うことができない存在です。

だからこそ、

寄り添える時間こそ大事にしたいと思いました。

食事の時間こそ

その究極の寄り添える時間だと思いました。

 

一人サンドイッチを食べて

なんだか泣けてきたのは、

そういう気づきをもらった

喜びだったのかもしれません。

 

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とら、こた、一緒に食べよう!!