週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

鼓動と重なって時を刻むサブマリーナ

オーバーホールに出していた

愛用の腕時計が戻ってきました。

3月9日にお店に持って行ったので

およそ3か月ぐらい待たされたことになります。

緊急事態宣言でショップが休業となり

忘れていた矢先のことだったので

思いもよらぬ朗報となりました。

f:id:kogysma:20200604201242j:plain

 

ロレックスのサブマリーナ、

Ref.16613、1999年ごろに作られたモデルです。

結婚してしばらくしてから、

僕がブランド物に全く無頓着で

あまりみすぼらしかったのでしょうか、

義母(妻の母)が

せめていい時計ぐらいさせなさい!

と妻に言って、

妻に渋谷の高級時計屋さんに連れて行かれて、

好きな時計買いなさい、と言われ、

ドギマギしながらショーケースを覗いていたら、

深い海を思わせるブルーの文字盤に

吸い込まれるように目が止まり、

他の商品と比較することもなく

即決してしまったのです。

 

それからというもの

サブマリーナは淡々と時を刻み続けてきましたが、

その間二人の子供が生まれ、

義母は白血病で亡くなり、

家族で引越しをし、

僕は会社を辞めて独立し、

二匹の猫を飼い、

上の娘は結婚し、

下の息子は就職し、

僕らはというと八ヶ岳に山小屋を買い、

その時真っ白だった未来のキャンバスには

汚れや破れにまみれながらも

なんとか今が描かれていていきました。

 

不思議なものでサブマリーナは

時を刻む中で

少しずつ己の深い青色を

より深い青色へと染めていきました。

まるで海の奥深くへと沈んでいくかのように。

 

僕はこの時計を見ていると

なんだかとても落ち着きます。

時計とは時を刻むのではなく

身に着ける者の人生を刻んでいる生き物だと

この青の文字盤を見ていると思います。

 

オーバーホールに預ける時に

「そろそろ文字盤も変えることをお勧めします」

と言われましたが、

それだけはやめてくださいとお願いしました。

程度が良かったせいか、

問題ないですと言われ

ほっとしました。

その代わり、

数字が書いてあるベゼル部分の文字盤は

新調されてしまいましたが・・・。

 

ピカピカになって戻ってきたサブマリーナは

腕につけるのがもったいないぐらい。

オーバーホールして

ベゼルディスクを交換して、

合計で¥93,400円(税抜き)でした。

f:id:kogysma:20200604212555j:plain

 

特別定額給付金は

これに右から左へと消えてしまったなあ・・・。

「その分困った時はこれを売ればいいのよね」

と妻は言いますが、

売られた方がもっと困る。

それほど僕の鼓動と重なって

体に血液を送ってくれています。

 

今になってモノの価値というのが

わかりかけています。