週末は雑木林に囲まれて

八ケ岳に魅せられて、週末は八ヶ岳南麓で暮らしています。東京と行ったり来たりの暮らしの中で感じたことや考えたことを綴ります。

ワインの試飲会でソムリエから学んだ表現の楽しさ

最近知り合った

ドイツワインのインポーターの方からお誘いを受け

”試飲会のための事前試飲会”なる場に参加してきました。

4月中旬ごろにワイン通や著名人を集めた試飲会の

予行演習といったところです。

 

インポーターの代表や社員、

イベントプロデューサー、ソムリエなど

内輪で数名で行いました。

 

僕はワインの試飲会などは経験ありませんし

そもそもワイン通でも何でもない。

それが何で呼ばれたかというと

大事に育てられたドイツワインの魅力を

きちんと伝えるための

コミュニケーション上でのアドバイスをして欲しい・・・

という趣旨からです。

 

全くお金の匂いがしない話ではありますが

おいしそうな香りがするではありませんか。。。

 

向かったのはインポーターの方の自宅兼事務所。

地下が倉庫になっていて

そこに収められたワインセラーには

100本以上ものワインがありました。

今回のプレ試飲会では

とどいたばかりのドイツの白・赤ワイン

およそ30本を試飲し

感想を書いていくという作業です。

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ソムリエさながらの気の利いた形容をしなくてはならないのか・・・

と一瞬焦り、

隣のソムリエ、Iさんに聞いたら、

難しいことは一切考えず、

おいしい、まずい、軽い、甘い・・・

いつもの感想でいいんですよ。

と教えてくれましたので

その程度の感想コメントしか思いつかない僕は

ずっとそんな感じで書いていました。

 

さて、5本、10本と飲み比べていくうちに

当然お酒が回ってきます。

初めての面々でしたが

だんだん打ち解けてきました。

敷居が高くてビクビクしていた試飲会でしたが

冗談や笑い声が増えていくにつれて

だんだん敷居が低くなっていくのがわかります。

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調子が出てきた僕は

ようやくその敷居を一歩踏み出す問いを

ソムリエ、Iさんに投げかけました。

 

「Iさん、このワインはちなみにどんな感じですか?」

「これはですね~・・・。

雨に濡れた森の中から出てきた一匹の猫の

濡れた毛の香りがします・・・」

なんじゃそりゃー??!

思わず吹き出して

わけがわからないですよ~と笑ったら、

「あ、そうです。僕もわかってないし笑

言葉遊びのようなもんですから」

なんて楽しそうに語るではありませんか。

それにしてもどうしてこういう

突拍子もない表現ができるのか

その秘訣みたいなものを知りたくなって聞いたら、

「僕らはワインを大切な子供や愛する女性に例えます。

それはまるで生き物のように

同じワインでも一つ一つ個性があるからで、

どんなインポーターにどう育てられてきたか

それによって人間のように変わるからです。」

 

なるほど~

奥が深い!!

さらに

「例えばわかりやすいところでいえば

どんな女性のどこら辺のボディか

想像したりするといいですよ」

と言って、

最初に飲んだ3本をキャンディーズ、

4本目を島倉千代子と言い出しました。

 

なんじゃあそりゃあ・・・!!!

みんな大笑いしたのですが

確かにそう言われてみればそう。

ピンクレディーじゃダメなのか?

と聞いたら、

そこまでの色気はないですね・・・。

続いてAKB48とかじゃダメなのか?

と聞いたら、

全員が揃っているというよりそれぞれの個性が強いですね・・・。

との返事。

 

ということでなんだかタガがどんどん外れ、

それ以降は

この味はくダンサーのくびれた腰のようだとか

この味は熱唱する美空ひばりだとか

まあ好き勝手に盛り上がりましたこと。

 

でもそうやってどんどん饒舌になっていく中で

ひんやりと清楚で

香りも控えめだけどなにか謎を秘めたような白ワインに出会い

妙に惹かれました。

その時僕が浮かんだたとえ。

 

夏の蝉しぐれの中

木漏れ日を映して佇む

和服を着た透き通るような肌の華奢な女性の

襟元から漂う香り

 

ああ、恥ずかしい💦

でも、こんな情景が咄嗟に浮かんだことに

我ながら驚きました。

よぎっただけでソムリエIさんには伝えなかったですが、

こうしてワインを愛でるという事なんだな・・・

と思いました。

 

Iさんが盛んに言っていた言葉がありました。

 

「まだ開いていない」

「あ、開いてきた・・・!」

「いきなり開いている・・・!」

開くってどんなイメージなんですか?

と聞いたら

つぼみのように緊張して

まだ閉じていた個性が開花するイメージ

と教えてくれました。

 

ちなみにキャンディーズワインに対しては

1時間後あたりに

おお、やっと開いてきた!と言っており、

島倉千代子ワインには

ああ、いきなり開いてる!

と感動しておりました。

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大笑い!

わからないようでわかるようで

その辺のさじ加減がまた楽しい!

 

ワインの試飲会などというと

かしこまったスノッブな会だと思いきや

飲んで楽しい句会のような

節度ある大人のサロンのようで

新しい人生の楽しみ方を発見した気持ちになりました。