午後雨が止んだすきを狙って
散歩に出かけました。
夏草の蒸す匂いが鼻を突いてきます。
家を出て少し行くと
犬を連れたFさんに出会いました。
僕の八ヶ岳の師匠みたいな人です。
「よう!久しぶりじゃないか」
そう手を挙げるFさんでしたが
何となく疲れている感じが漂っている。
「どうしたんですか?」
と聞いたら、
「やっちまったよ~」
と言って見せてくれた左手の人差し指には
ガッシリと包帯が巻かれていました。
「どうしたんですか??!」
とまたまた聞いたら、
丸ノコ作業中にうっかり指が刃に触れて
爪の根元から先を切断してしまったらしい。
ゲエエ~~~!!!
びっくりして状態を聞いたら、
「いや~、痛かったのなんのって・・・
ようやく痛みは取れてきたけど
まだ傷口がふさがっていないので
破傷風にならないように
手が水やお湯につけられないんだ」
そう言って今までよりも1センチほど
短くなってしまった指をかばいながら
「あなた、まだ若いんだから気を付けな」
というので、
Fさんこそ、これから僕はいろいろ教わりたいんで
早く治してくださいよ!
と声をかけたら、
そうだなあ、と言いながら
力なく笑って犬と行ってしまいました。
Fさんにもミスはあるんだ・・・
チェンソーの使い方や
薪小屋の作り方を指導してくれたFさんが
まさか指を大ケガするとは思ってもみず
しばらく軽いショックで
その場を動けませんでした。
湿気を帯びた草の匂いが生臭く感じたので
歩き出そうとしたら、
視線を落としたその先に
カブトムシがよちよちと道を横断していました。
道行く人に踏まれないようにと
角をつまんで我が雑木林のドングリの木に這わせたら
どんどん上に登って
見えなくなっていきました。
また雨がポツポツと降り始めたので
散歩はやめにして家に入り
仕事に集中しました。