また悪い夢を見たようで
猫が朝の運動会をしている音に
かろうじて現実を悟りながら
ベッドを出ていくと
おはようと言いながら妻が
シクラメンの紫とピンクを買ってきてと言った。
まだアイドリングも安定していない頭を
ぐるぐると回転させたら
今日から八ヶ岳に行く予定だったことに気がついた。
窓の外は快晴。
二匹の猫を病院に連れていきワクチンを済ませて家に戻り
コーヒーを入れながら旅の支度をしていると
いつものようにわくわくしていない自分に気がついた。
なんでだろう?
と考えてわかったのだが
3週間ぶりの八ヶ岳なので
こころに距離ができてしまったよう。
毎週行っているとあたりまえのように行けるのだが
時間があくと旅に出るのに
うしろめたさを感じるようになってしまう。
コーヒーを飲んで八ヶ岳に思いを馳せた。
紅葉の雑木林が瞼のスクリーンに映し出された。
どんどんスクリーンの世界にこころが近づいていくのがわかる。
さあ、こうしてはいられない。
荷物を詰め込んでクルマを出した。
中央高速を大月で降りて下道を行く。
甲府を過ぎて韮崎に入ると
南アルプスに沈みかける日の光が虹を作って
とても幻想的だった。
家に着くと夕闇が迫っていた。
その中のまだかすかに温もる日の光を探して
色づく雑木林を写真に撮った。
標高1000メートル。
虫の音さえ聞こえない静まり返った庭を眺めながら
缶ビールを一口飲んだら
朝の悪夢の脳裏の上に
しっとりと落ち葉が積もっていて
その上に寝っ転がっている自分がたいた。
さあ、日曜日まで八ヶ岳を楽しみます!